過敏性腸症候群をクイック解説~症状と薬
過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome,IBS)とは、腸にとくに疾患がなく、診察においても異常が認められないにもかかわらず、腹痛・下痢・便秘などがひんぱんに起きる症状です。
一般に女性のほうが男性よりも発症する割合が高く、また女性の場合は便秘、男性の場合は下痢の症状があらわれるケースが多いとされます。
とりわけ下痢の場合、突然の激しい腹痛とともに、強くコントロールしがたい便意が襲ってきます。
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毎朝電車で通勤するサラリーマンとしては、万一を考えると快速電車は使えない、各駅停車で通勤せざるをえない…ということで、別名「各駅停車症候群」とも呼ばれています。
過敏性腸症候群はいまだに原因の特定がされていない疾患ですが、その背景には、職場などにおける人間関係や仕事のストレスがあるとする見解が有力です。
これは脳が、腸の機能を強くコントロールしているためです。
脳に強いストレスがかかることによって、セロトニンという神経伝達物質が増えて自律神経のはたらきが乱れ、腸の運動機能が異常を起こし、便秘や下痢が起きるとみられています。
また腸の痛覚が鋭敏になるため、腹痛も起こりやすくなります。
外部からのわずかな刺激によって起こりやすくなる、「ストレス性の腸炎」ということです。
過敏性腸症候群は下痢のイメージが強いかもしれませんが、症状としては下痢以外にも便秘、腹部の張りや強い痛み、そして下痢と便秘が交互に繰り返されるタイプもあって、症状の現れ方はさまざまです。
症状があらわれる季節や日時も一定しませんが、原因としてストレスが有力視されていることもあり、ストレスがかかる状況を間近に控えたタイミングで発症しやすくなる傾向があります。
通勤・通学の時間帯、女性の場合は月経時に症状が出やすくなるとも言われます。
また、食事をスイッチとして起きる場合もあり、食後すぐにトイレに駆け込みたくなるケースもあります。
この病気そのものに危険性があるわけではありませんが、過敏性腸症候群によって引き起こされる仕事の能率低下や、発症の不安から動悸・発汗・食欲不振・うつ・疲労感・不眠などが、周辺症状としてあらわれることがあります。
それらによるストレスがさらにこの病気の症状を悪化させ、いわば悪循環ともなりかねません。
それにもかかわらず、実際にきちんと病院での診察を受ける人の割合は少ないとされます。
「ストレスが原因だし、病院にいっても仕方ない」とばかりに、市販の下痢止めや便秘薬を飲んでまぎらわしている人がいかに多いかということです。
下痢止めの市販薬としては、昔から家庭の常備薬でもある大幸薬品の「正露丸」、そして「各駅停車症候群」を主なターゲットにしたライオンの「ストッパ」などが知られています。
後者の「ストッパ」は水無しで飲めることにより、薬の腸への到達時間が短くなる点を特長としています。
下痢止めは、腸の過剰運動や水分の分泌を抑える作用があり、症状の緩和には有効です。
ただし市販薬は症状の一時的な緩和が主な効能のため、いつまでも市販薬に頼っていては問題の根本的な解決にはつながりません。
ストレスの根本原因を避けることによって症状が改善する可能性も高まりますが、たとえば会社の人間関係が症状に関係していそうだからといって、そうそう会社を辞めるというわけにもいきません。
過敏性腸症候群を本格的に治療するには、やはり病院で診断を受けて、腸の機能面に問題がないことをまず確定し、その後は推定される原因に応じて、投薬を軸にした治療を受けるのがよいでしょう。
自分としては腸そのものに問題が無いと思っていても、きちんと診断を受けてみたら別の腸の病気であった、あるいは別の疾患からきてる症状だった…というケースも考えられるからです。
便秘の場合は食物繊維の摂取量を増やしたり、食事内容の改善や回数制限などがあわせて指導されることもあります。
また最近は、現段階の処方は男性のみとなっているものの、下痢・腹痛に対し即効性の高い医療用の新薬「イリボー錠」がでてきています。
通常は医療用の薬においても、症状が改善させるには早くても1~2週間程度はかかるといわれていることから、即効性が期待できる薬の登場は患者にとって明るいニュースと言えそうです。
過敏性腸症候群と考えて消化器科・内科を受診すると、腸の検査をして機能面では問題がないと診断された後は「様子をみるように」と指導されるケースも少なくありません。
ストレスの治療が主眼となる場合は、「腸機能面に問題が無い」との診断を得た後は、自律訓練法や抗うつ療法を施す心療内科などにおいて治療を受けるのが適切なケースもあります。
まず主要な原因を特定して、その後それに応じた適切な治療を受けるという意味では、できるだけ過敏性大腸症候群の症例を多く扱っている専門医で診察を受けるのが望ましいでしょう。
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